点字ブロックに文字情報

点字ブロックには、線状の突起で歩く方向を示す「誘導」と、点状の突起で横断歩道や階段等の障害物を示す「警告」がある。
名古屋の市民団体は、この点字ブロックに、「東」「西」「南」「北」の文字や矢印をプリントした新型を試作した。
ひとにやさしいまちづくりアドバイザーによると、
「文字や図形を入れれば、弱視の人は見える。また全盲の人がトイレなどの場所を聞いたとき、健常者が教えやすい。」
ということらしい。

私が学生の頃、講義で、自らを障害者と同じ状況に見立てての街頭シミュレートをしたことがある。
このとき私は聴覚障害者に出来る限り近い状況になり(気付かれないように耳栓多量使用)、街中で道を聞いた。
小型スケッチブックに「○○に行きたいのですが、道を教えてください。」の文字を見せる。
このとき、言葉で道を教えてくれる人が3割はいた。
(耳が聞こえないから、スケッチブックに書いてるんでしょ。)
"相手が障害者だ"と思っても、健常者は障害者を理解しきれていない。
つまり、"相手が障害者だとわかっているつもり"なのだ。

さて、点字ブロックを使用するのは、弱視の人か全盲の人である。
視覚の弱い人が果たして視覚の誘導に注意するだろうか?
きっと、残った感覚(聴覚・触覚)を敏感にして困難を乗り切ろうとするのではないか?
私が街頭シミュレートをしたときは、音がないことがものすごく怖くて(衝突や落下物による危険)、かなり視覚に頼った。

もう一工夫ほしいところ。
警告点字ブロックには必ず音声誘導をつけるとか、
ひとにやさしいまちづくり検討のメンバーに障害者を正会員として加えるとか...。
大分変わってくると思うけどなぁ。

ということで、ひとにやさしいまちづくりに関わっている方々に敬意を表しつつ、21世紀を迎えます。
(私も設計者として、出来る限り心がけています。)


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