2003年5月アーカイブ

クレイアニメ「ピングー」は、カルロ・ボノーミ(イタリア人俳優)が、たったひとりで全キャラの声優をこなしているらしい。
メイキングビデオに収録されていた。
ピングーでもあり、ピンガでもあり、ロビでもあり...。
収録スタジオは、まさにひとり芝居の世界。
かけあいも沈黙も思いのまま。
しかし、それだけ多彩な人になると、風邪を引いて声が出なくなった時などは、一大事。

アニメで、声優が変わったことに気付いてしまう時ほど悲しいものはないと思う。
声が変われば、キャラクター自体の印象も変わってしまうのだから。
そんな時には、ぜひ、ものまね名人に活躍して欲しい。
いつもは、まねる事でみんなを笑わせたり、感心させていた自分が、仮想世界のキャラクターに命を吹き込む。
顔は出ないので、物足りなさもあるかもしれないが、そこには一味違った充実感があるはずだ。
キャラクターを大事にする。
ルパン三世の山田康雄氏の跡を継いでいる栗田貫一氏などはまさにそのいい例だ。

そう考えると、声にも霊が宿るということを感じずにはいられない。
"言霊"はきっと、そんなところが起源なんだろうと思う。

天空の城

人は大地から離れては生きられない。

屋上に、テラスに、どんなに土を敷き詰めても、そこは大地とは呼べない。
どんなに大量でも、フェイクの域を達することはできない。
生きる力を切り取られて、えさを与えられることのみを待つ土を切なく思う。

土が育たないところには、人間も育たない。
「土を育てること=人間を育てること」
超高層ビルを見て、そんなことを考えていました。

追憶のマーメイド

近頃、ドライブ中に「あっ、ここ、○○の辺りに似てるね。」などと思うことが多い。
自分が過去に体験した空間や雰囲気が一瞬よみがえったりするのだ。
29年間生きてきて、それなりに経験が増えてきたのか...。

そんな時、まるで、記憶の神経衰弱をしているような気持になる。
手持ちのカードを覗いてみると、僕のカードには小学校以前の記憶が極端に少ない。
"人間は忘却の生き物である"等というようだが、あるはずのカードがないというのは寂しいものだ。

これから、何年か先に今のこの瞬間の記憶が忘れ去られることが分かっていても、懲りない毎日を送っていこうと思う。
そして、あるはずのカードがないことを寂しがろうと思う。
僕は、それでいいと思っている。


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